「ハスラー2」

2008 年 6 月 27 日

エディ (ポール・ニューマン) がニセ酒を売っているという驚きの展開で始まるハスラー2
あれほどJ.T.S.ブラウンにこだわっていた若かりし頃とのギャップが、25年間という時間の長さを際立たせる。

「古い樽が寝てたんだ。フーゼル油も酸味も少ない」
フーゼル油はアルコール発酵の副産物として発生するのだが、特異臭があり好まない人が多い。エディの舌はどうやら確かなようだ。けれども心は腐ってしまったのだろうか。

「銘柄物と変わらない。ワイルド・ターキーに混ぜても、誰にもわからん」

 

通常バーボンは焦がした新樽に詰めて熟成させるが、Angel’s Share(天使の分け前)と呼ばれる年3%前後の蒸発分がある。
例えば10年熟成だとすると元々の量のおよそ30%が蒸発してしまうことになる計算だ。古くなればなるほど貴重だし、味わいも増していく。
つまりニセ酒といえどもエディの言うとおり銘柄物に劣らないのだろう。であれば「新しい銘柄として売り出し」てみることもできるのに、そこを「銘柄物に混ぜよう」と考えてしまうエディ。
25年間そうやって人をだまして生きてきたことを物語っている。

 

そこに登場するビンセント (トム・クルーズ) は能天気を絵に描いたようなお調子者の青年。ビリヤードが面白くてたまらないビンセントに目をつけたエディはうまくあやつって金を稼ごうとする。だが賞金稼ぎのツアーの途中、エディがつぶやくセリフがせつない。

 

「今の時代はヤクだ。俺のころは酒だった。酒は人間的だ」

 

いまだに酒に対して絶対的な信頼を寄せているエディ。

冒頭のシーンは、世の中をあきらめているような倦怠感の象徴だったのだ。

 

酒は薬にもなれば毒にもなる。快楽を追うばかりで破滅一直線のヤクとは違う。

ウィスキーはその昔は薬として利用されていたと言われており、語源は「生命の水(アイルランド語でウシュク・ベーハー  uisge beatha )という。

酒とは、信頼できる存在なのである。

 

さて、ビンセントとのツアーがきっかけで再びキューを手にしたエディ。古い友人が酒を頼む際エディのために「こいつはJ.S.T.だ」と言いここで初めてJ.T.Sがでてくるのだが、これを機にしたかのようにニセ酒人生に終止符を打つ。それまでは金のために生きてきたエディは、勝てる試合でも金のためなら実力など抑えるべきだと考えてきた。しかしここからは違う。

ビンセントとの勝負に八百長はいらない。

 

☆華麗な玉さばきを見せるポール・ニューマンに、負けず劣らぬトム・クルーズ。芸達者な俳優だと改めて思います。次回、『カクテル』で魅せるトム・クルーズのフレア スタイルもすごい。これを見てバーテンダーを目指した若者は少なくないのです。かくいうシネマ・カクテル監修の井口氏もその一人‥!

 

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「シネマカクテル」監修:井口法之


銀座ガスライト店長。

2007年の第34回全国バーテンダーでは技能競技大会 総合優勝を果たす。 

好きな言葉は「最後にバーに行け」。

バーテンダーを夜の神父だと思って、悩みがあるときはバーの扉を押してほしい。

 

銀座ガスライト

東京都中央区銀座8丁目7-11 ソワレド銀座第二弥生ビル6F 

TEL:03-3574-7633

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(構成・文 水木麻琴)

 

 

「ハスラー2」
DVD発売中
キャスト: ポール・ニューマン、トム・クルーズ、メアリー・エリザベス・マストラントニオ
発売元:ウォルト ディズニー スタジオホーム エンターテイメント