「カクテル」
「シネマカクテル」監修として映画とお酒の熱い関係をひも解いてくださっている井口法之さん。2007年の第34回全国バーテンダー技能競技大会で見事総合優勝を果たした彼の原点には1988年の映画『カクテル』がある。
「僕が中学の頃、『カクテル』と『レインマン』が二本立てで上映されていて見に行ったのですが、『カクテル』には目が釘付けになりました。
トム・クルーズが魅せるあの技がもう一回見たくて、後日また映画館に行きましたね」
音楽に乗せてスピリッツの瓶を二本同時に頭上に回しあげ、後ろ手でキャッチし、ステップを踏みながらグラスに注ぐ。カウンターの中は華麗なショーのようだ。
広いホールでトム・クルーズが高らかに即興の詩を朗読するシーンはこの映画の山場の一つだが、
アメリカ人は飲んでいる 俺の作ったカクテル
セックス・オン・ザ・ビーチ
ピーチのシュナップス
目の回るベルベット・ハンマー
フルーツ・ジュースにピンクの泡を乗せて
スイートでファンシーなアイスティー
カミカゼ、オーガズム、デス・スパズム、Lの痙攣
シンガポール・スリング
アメリカ人はひざまずく 俺の作った酒に
「おそらく日本では、あの詩に出てくる単語がすぐにカクテルの名前だと気づいた人は少なかったでしょうね。あの当時、ほとんど知られていなかったカクテルだからです。日本語で出版されているカクテルブックのどこにも載っていなかったし。”カミカゼ”と出てきてはじめて、これはカクテル名をあげているんだなと気づいたんじゃないかな」
今ではこれらのカクテルはほとんどのバーテンダーが一度は(おそらくは何度も)注文を受けているほどポピュラーになったが、実際、当時のカクテルブックには掲載されていない。唯一掲載されている”カミカゼ”のスタンダードなレシピをひとつご紹介しよう。
ウォッカ 3/4
ホワイトキュラソー 1tsp. ※tsp=ティースプーン。小さじ程度
ライムジュース 1/4 tsp
をシェーク。オールドファッションドグラスで供する。
“カミカゼ”という名の由来は、ホワイトキュラソーの苦味とライムの酸味が切れ味鋭く、日本海軍の神風特攻隊の攻撃のようだと例えられたのだとか。
「”カミカゼ”はレシピが変化するカクテルとしても代表的ですが、たとえばコスモポリタンという、ロンドンの女性が作ったカクテルもレシピは幅広くあります。あと、日本で有名だけど海外では知られていないカクテルっていうのもたくさんあります。たとえば”シャンハイ”も中国で有名ではないし、ブロードウェイサーストがブロードウェイの隣にある店にも置かれていないのには驚きでしたね」
それにしても瓶を回しながら1tsp.などという微量なスピリッツをグラスに注ぎ込む技は相当ハイレベル。ただ味はおろそかになりがちなのでは、といぶかってしまうが、そこはプロだ。
「例えばラスベガスで年一回開かれるフレアスタイルの世界大会で作られるカクテルは味も一級品なんですよ」とのこと。
「日本では静かに飲みたいお客様も多いからかフレアスタイルはあまり定着しないんですが、最近また少しずつ人気がでてきたみたいです。TGIフライデーズという、トム・クルーズに演技指導した会社の社長が経営する店が現在品川にあり、そこのショーは盛況みたいですよ」
クールなたたずまいの井口さんも、その原点はフレアスタイルのバーテンダーへの憧れにあった。だからなのだろうか、カクテルを作る井口さんの一連の動きは流れるように美しい。
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「シネマカクテル」監修:井口法之
銀座ガスライト店長。
2007年の第34回全国バーテンダーでは技能競技大会 総合優勝を果たす。
好きな言葉は「最後にバーに行け」。
バーテンダーを夜の神父だと思って、悩みがあるときはバーの扉を押してほしい。
銀座ガスライト
東京都中央区銀座8丁目7-11 ソワレド銀座第二弥生ビル6F
TEL:03-3574-7633
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DVD発売中
発売元:ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント


